一スピリチュアリストの声

10年前からスピリチュアリズムを学んでいます。まだ学びの途中でありますが、これまでに学んだこと、経験をふまえて綴ってまいります。                                                                                    

心の闇~うつ病を考察する


f:id:gsirakaba:20201028131631p:plain 現代人の多くは心の奥に闇を抱えて生きているように思えます。何となく気分が沈み、毎日が辛い、何をするのも億劫だというレベルから、表面化しすでに身動きのとれない状況に陥っている場合などがあるでしょう。ここではうつ状態うつ病の症状をいちいち挙げませんが、多くの人たちが苦しんでいます。

ではどれ位の人たちがそのような状況にあるのかを統計から見てまいりましょう。
     うつ病の総数のデータをここに上げます。

     H02年 23.1万人   H11年 33.5万人    H23年 70.1万人

      (うつ病患者数の推移~平成23年「患者調査」厚生労働省大臣官房統計情報部より)

これは単純に“増加した“というだけではなく、すでに発症していたが医療機関を受診しなかった人が受診するようになったという背景があります。

それでも、この数値は医療機関を受診した人だけを拾い上げたものであり、実際はさらにかなりの人数に上るものと思われます。そして有病率は6.7%で、15人に一人は生涯に一度は罹患する可能性を指摘しています。先にも述べましたように、うつ病は年を経るごとに増加の一途をたどっています。

また、精神科の病院は他の診療科と比較して断トツに増加しており、1978年から比較すると、2016年には2.52と倍以上の増加です。このことからもいかに精神を病む人たちが増加して来たかが伺い知ることが出来ます。

 “うつ”の原因は何か?ということは非常に気になるところであります。
一般的にはストレスから来ると言われています。ストレスの元になるものをストレッサーと言いますが、それにはどのようなものがあるでしょうか。

        内的ストレッサー                 外的ストレッサー

 心理的ストレス 

 不安・怒り・緊張
 憎しみ・寂しさ
 自己肯定感低
 自信のなさ

 

 物理的ストレス

 季節温度差
 薬物・騒音・悪臭

 身体的ストレス

 疲労・怪我・疾病
 不眠・健康障害

 社会的ストレス 

 人間関係
 経済状況
 職場環境
 学校関係

 このようにストレッサーとなるものは多々ありますが、これらをストレスと感じるかどうかは人様々です。そしてストレスの解消法については一般的には次のようにも言われています。
1. 生活リズムを整える
2. 運動をする
3. 美味しいご飯を食べる
4. リラックスできる場所を見つける・・・など

そして現在の治療法は以下となっています。   

休養、抗うつ薬などの薬物療法認知行動療法などの精神療法とされています。何故か運動療法は積極的に推奨されていないようです。しかしようやく近頃になって“うつ“は”生活習慣病“という認識も一部では出始めていて、運動の効果が見直されてきているようです。

1. 血流が良くなり脳が活性化される
2. 気分転換になる
3. 満足感・達成感が得られる

などが期待されるからです。

 では次に、ストレスとメンタリティについて考えてみましょう。
先に「ストレッサーとなるものは多々ありますが、これらをストレスと感じるかどうかは人様々です」と書きましたが、本当にそのように思います。
ある人には全く問題にもしないようなことが別の人には大きなストレスとなる、ということは大いにあります。そこで職場では「職場でへたこれないメンタルトレーニング」なるものが盛んに取り入れられています。職場での生産性の向上に向けたもの、モチベーションの向上、これらはまず“目標の設定”を上げています。目標を明確にしてやる気を出させるというものです。しかし、ここでの目標とは会社であるならばそこでの業績のアップが目標であって、本人の生きる目標とは異なることに気づかねばなりません。会社の目標=あなたの目標ではないのです。
ストレスマネジメントとしてリラクゼーションの方法や仕事から離れた趣味を持つこと、相談することの効用、中にはヨガや瞑想の指導なども行われています。

どのような病気でも言えることですが、調子の悪いときは医療機関を受診し、医師の診断を受けることは大切です。
それだけではなく、可能ならば(自分の行動・考えをある程度コントロールできる状態にあること)生活リズムの改善など自分で出来ることを行うのも大切です。そしてとても大切なこととして信頼できる人を持つことが挙げられていますが、そもそもうつになりやすい人は、真面目・几帳面・融通が利かない・思い込みが激しいなどの傾向にあり、友人を作れず信頼できる人が出来にくいという傾向にありますから、なかなか難しいところであります。
また、ある研究者が言っていますが、うつになりやすい人は「自己洞察力が低い」と指摘しています。これはどういうことかと言うならば、自分や物事を正しくとらえられないということです。たとえ自分が相当に疲れているのに、“大丈夫です”と答えたりします。そして状態がかなり悪化してから初めて気づき大ごとになるという具合です。
こういう人には“アウトプット”が有効であると言います。
「書く」「話す」「行動する」などで自分自身の内面を観察できるようにするのです。これらの働きかけにより、当座の効果は期待出来ます。私自身も一時全く元気を失い、やる気のスイッチが入らず、何もしたくないという時期がありました。仕事には重い足を無理に引きずってゆき、休日はなにもせずジッと自分の部屋へ引きこもっていました。そんな時に何とか少しでもエネルギーを補充すべく、すぐ目の前にあるスーパーへ買い物に出ます。体を無理にでも動かすことで、やっと少し元気を取り戻すことができたという経験があります。ですから、私は誰かが元気をなくしていると見たときには「スーパーへ買い物に行ってきたら良いよ」と声を掛けます。これは体を動かすことと、さらに他人とほんの一言であっても会話をする、という行動が功を奏するのです。

しかし、これはまだ根本的な問題解決にはならないのです。そもそも、“自分は何のために生きているのか”、という問題を無視して上辺だけの取り組みではどうにもならないのです。何のために生きているのかそれが解らない、そうなると働くことの意味も見い出せなくなります。まさにうつ状態うつ病になります。
そういう意味から現代人の多くは、“うつ病予備群“ということが出来るでしょう。

  以前、私が病棟婦長をしていた時のことですが、あるスタッフが「今日は調子が悪くて勤務できません。休みます。」と電話してきます。当日ですから、人員確保に別の人を呼び出すというわけにもゆかず、一人欠員のまま仕事が始まるということになります。このスタッフは、しばしばこうして突然の欠勤をします。
私はその後転勤になりましたので、そのスタッフがその後どのようになったかの情報はありませんでしたが、別の例では結局退職し他院で働き始めるということを繰り返します。別の所へ移動するたびに、条件の悪い所になります。いわゆるブラックといわれるような職場に落ちてゆくのです。どうしてこうなるのか、採用する側はその人の前歴を見ます。そしてまともなところは採用しません。そうしているうちに、その人は段々に自信を消失してゆくことになります。そうしてついにはどのようなところであっても働く事そのものが出来なくなってしまうのです。たとえ看護師という資格を有していたとしてもこのような現実があるのです。
看護師だけではありません。どのような人にも起こる現実なのです。働けない、社会に順応できない、人間関係をうまく構築できない、という深刻な状況です。
日本を始め先進国では、医療・衛生・栄養状態が向上し長寿が可能となり、今や人生100年の時代などと言われており、確かに身体面では長足の進歩が見られます。しかし、精神面や霊的な視点から見るならば、それは衰退ないしは退廃ともいえる状況にあるといわざるをえません。多くの人たちが精神的、霊的に苦しんでいるからです。これは明らかに精神・霊と肉体の調和を欠いた状態であり、何とかせねばならないのです。苦しみの、病の原因を探り取り除かねばなりません。

調和を欠いた状態、とはどう言うことか・・・?
反対に調和のとれた状態とは・・・?
ここに最も根本的な「人間とはいかなる存在か」という命題を明らかにしなければならなくなるのです。
つまり、今は病気(霊、精神、肉体の)である、では病気を治すとはどのような状態にするのか?言い換えると、本来の姿ではないのを本来の姿にすることです。
一体、人間の本来の姿とはいかなる姿か?
生きる目的も知らず、自分とは誰なのかを知らず、ただ惰性で生きる姿が人間の本当の姿か?そうではありません。これまでの生き方のどこがどう間違っていたのかに気づき、修正してゆかねばなりません。
そのためには知らなければなりません。無知のままであっては改善は出来ませんし、当然進歩・向上は出来ません。問題の解決はあり得ません。一時の表面上の手当は、先に述べましたようにいろいろ工夫され実践もされてきています。そうした姑息的な手段をくりかえしていても未来は見えて来ません。

スピリチュアリストの立場からは、だからこそ霊的真理を知りそれを実践に移すことが求められている、と申し上げるのです。霊的真理は永遠の真理です。
そして、これは”他人のために生きる”ということを訓えています。ちょっと考えてみてください。何か人に親切にしたとき、されたその人は喜びます。すると自然にあなた自身も嬉しく、幸せを感じるのではないでしょうか?
自分中心主義からは幸せはやって来ないのです。他のために生きることこそが、本当の幸せを感じることが出来ます。人は利己主義を脱却して利他主義に変わらなければ救いはないのです。

うつに苦しんでいる人も自分のことはちょっと横に置いて、何か一つでも他人が喜ぶことが自分でも出来ることはないか?と探し求めてみてください。ここがあるいは突破口になるのではないでしょうか?

今、現に苦しんでいる人には何らかの手助けは是非とも必要です。私はそれを否定する気持ちは毛頭もありません。相談に乗りたいと思います。できることがあれば手を差し出したいと思います。一緒に苦しみから脱却しょうではありませんか。

同じ地球に同じ日本に同じ時期に生まれ合わせた縁です。お互いが出来る限りの支えあいを実践してまいりましょう。これが今の私に言える事です。